2023年から2025年まで、3年間に及ぶ体験作品
体験作品とは小説で描いた空想の別世界をリアルな体験として開き、自由に遊ぶことができる没入形のフェスティバルです。
RingNe
舞台は神奈川県、南足柄市。
市内の70%ほどが山に囲まれたこの土地で「人と植物のあわい」を見つめ、生命観を拡張できるような体験作品をつくります。
今回のために書き下ろした原作小説『RingNe』で描いているのは、
「人が植物に輪廻する世界」。
その事実は、人々の弔い方を大きく変えました。
遺伝子情報が焼失してしまう火葬ではなく堆肥葬により好きな植物へ転生することが一般化します。
そして転生した植物は種や花粉が鳥や虫に運ばれ、朽ちては大地に帰り”この世界の全ての植物は誰かのお墓”たり得るようになっていきます。
この世界では、死後、肉体を構成していた量子の多くが植物に吸収されていることが「RingNe」という指輪型の量子解析デバイスにより明らかになったことから、物語が始まります。
そういった世界の変容に伴い、木を材にしたり野菜を食べるといったこれまでの文化はセンシティブなことになってしまいました。
どの木なら材にしていいのか、どの野菜なら食べてもいいのか、見分けがつかないのです。
そしてそのニーズに応えるように「RingNe」は普及していきます。
これを使って、植物に触れると、その植物に吸収された(輪廻した)故人の情報が表示されます。それにより人の量子が転生した植物を神聖視する一派や、反対に旧来の価値観に戻そうとする一派など生命観は多様化します。
私たちは近現代において、生命は1人に1つ所有しているものであるという価値観が根付き、それを失うことの恐ろしさから死後の世界を思い描いたり、逆にこの世界に夢中になったり、夢と現実の彼岸に揺れながら生きてきました。
人生と植物としての命が1本の線で引かれているとしたら、生命はただ生まれて、在りて、滅するだけではない、新たな解釈を植物の世界から授かることができるのではないかと考えました。
小説内にはそのインスピレーションを、これから3年間現実世界で実際に起こりうる出来事と重ね、描いています。「植物主義」とも言える新たな世界に生きる3人の主人公それぞれの物語を通して「人と植物のあわい」を共にまなざしてみませんか。
年に1度の祝祭「RingNe Festival」では、マインドセットとして物語の世界観を分かちあい、成り切り、自由に振舞うことで、空想の世界を現実として現します。
今回は原作小説『RingNe』第2章をフェスティバルとして表現します。
また、昨年のフェスティバル内で起きた出来事は作中に加筆され、想像世界と現象世界は相互干渉しあいながら、物語の境界は益々曖昧なものとなっています。
フェスティバルは、大自然が息づく夕日の滝で、さまざまなアーティストのライブパフォーマンスや、地元の食材を使った飲食のマルシェ、滝のテントサウナやトークエリア、森の中で野点ができるチルエリアなど、ここでしか味わえない様々な体験が目白押しです。
会場に居合わせた人々とともに、歌い、踊り、語らいながら、大自然の一部としてマインドフルな時間を過ごしましょう。小説「RingNe」を読んでからフェスティバルを体験すると、何十倍もその世界観をお楽しみいただけます。
更に奥深くまでRingNeの世界を知りたい方はこちらの連載記事をご高覧ください。