After Report
RingNe Festival 第1章「生 / 巡」
2023年10月8日、雨。
「2044年 人が植物に輪廻する世界」を、現実世界に仮装した。
エントランス
(by 雨宮優)
RingNeのエントランスモチーフはキノコ。
受付は子実体、ゲートは菌糸。
来場者のリストバンドには菌糸と同じ糸を巻く。
森の全ての植物は菌糸を通して繋がっている。
人で在るうちを共に祝うために、まずその前提から始めたかった。量子サイクルして植物に転生する時代において、分かりやすく人体を量子的に見るために、人が粒子状に映るカメラも置いておいたのだけど気づいたかな。
胞子人間たちが出迎えます。
ゲートに至るまでの道は、耳を澄ますと遠くからダイアンサスたちのデモの声も聞こえたはず。
エントランスゲートのディレクター、制作は滝川麻友さん。前日朝から当日ギリギリまで施行し続けてくれて、本当に有り難かった。
キノコは森のインターネットとも呼ばれ、情報インフラとして森を繋ぎ、かつ弱った樹木に栄養を送る社会福祉的な役割も果たす(徴税もする)森の生命線である。雨もキノコの胞子が媒体となって降らせている説があったり、始まりのエリアのモチーフとして相応しかった。
ハナショウブリバーステージ
(by 雨宮優)
ハナショウブリバーステージはRingNeのメインステージ。
目の前を流れる川は三途の川をイメージして演出。
ライブ中にはシャボン玉で儚い干渉色を浮かべ、この世からあの世へ渡る橋には量子をモチーフにした装飾を3つ飾り、生死の狭間が曖昧で、重なり合うRingNe世界を表現。
ステージ前にはハナショウブ人間を竹のピラミッド下に2対設置。雨曝しだが植物なので問題ない。
裏には生命力が立ち昇るような流木の立体も2対。
ハナショウブの足元から伸びた根と接続されている。
流木デコやハナショウブ人間は岡本英樹さんによる制作。雨の中大変な施工を改めてありがとうございました。
時折舞台に現れる白い鹿のMCは、南足柄の山の神様「足柄明神」が白い鹿に化けるという伝記をモチーフにデザイン。
鹿は古来より異世界への案内役である。ボイスエフェクトは人とロボの中間のような声色で、AIが支配するRingNe時代の危うさを表現。対照的に明るいキャラクターが妖しさを増す。
オープニングはボレロ。史上最もダイナミックな輪廻的音楽で幕開けし、そのまま小説の冒頭同様に「光」というharuka nakamuraさんの曲へ。
立ったまま行うヨガから始め、
自然と身体を1つにして、
RingNe世界の祝福を味わっていく。
タイムテーブルは少しずつ祝祭感が昇っていく編成で、最後の演目RingNe ceremonyでピークを迎える設計。ceremonyについてはまた別投稿で。
コチョウランフォレストエリア
(by サカキミヤコ)
コチョウランフォレストエリアのテーマは「有頂天」
誕生の祝いも逝去の供養も等しく手向けられる花の名を冠したこのエリアでは、人で在るうちに起こるあらゆる現象を遍く味わい尽くしともに祝福します。
入口ではコチョウランの使者が、みなさまを階上のエリアへご案内しました。
フェスティバル来場者を心待ちにしていたコチョウランも、完全な人の姿に仮装することはできなかった模様。
花びらのまま、もしくはアルゴリズムや骨の状態まで遡行し、階下から全貌の見えないフロアへ辿り着く道しるべとなってくださいました。
どうしてもここまで連れて来たかったみたいです。
昼のコチョウランフォレストステージは、2044年の「人が植物に輪廻する世界」でのフェスティバルを体現したラインナップ。
人として生きる間に起こる様々な感情を共有し、見えないつながりを感じられる参加型のライブが繰り広げられました。
そこに在った全ての共犯者のおかげで、草木も人間も動物も雨も生も死も時間も渾然一体としながら、それぞれが思いのままに全てを祝う共存空間が出現しました。
夜は植物も眠る時間。
紫の光をアクセントに、光量を抑え、森の暗さに包まれるエリアとなりました。
polepoleさんとCoco Fatherさんのマルシェを憩いの場として、DJの奏でる音を頼りに、時に荘厳さに包まれ、高揚に身を任せ、幻想的な光となって、熱狂と恍惚の波が交互に訪れる時間を過ごしました。
最終演目、夜の暗さに誰が誰だかわからなくなり、またそんなことも気にせず言葉を交わし合えるようになった頃。
小説『RingNe』の一節をモチーフした横沢ローラさんの奏でる歌を先頭に、輪唱が始まり互いに反射し溶け合いながら人々はクライマックスのRingNe Ceremonyへ吸い込まれていきました。
「おかえり、ただいま。
さよなら、ただいま」
エンレイソウトークエリア
(by sawa)
エントランス外のパブリックエリア(無料エリア)に位置するトークエリア。
このエリアの設定は2023年の現在地。
トーク・ワークショップ・音楽ライブという3種類のコンテンツで、子どもからおとなまで、誰もが気軽に対話ができる空間を目指しました。
最初のトーク『私たちの暮らしと植物〜漆〜』では、南足柄で漆の植樹を始める石塚和男さん、南足柄ご出身で京都の堤淺吉漆店の森住健吾さんをお招きし、漆の採集や流通、未来についてのお話をうかがいました。(漆作家の野田とし子さんはご体調により当日出演キャンセルとなりました。)
『南足柄で生きる』では、南足柄の地域を盛り上げようと活動されている4名の方々、
あしがら森の会議の斎藤健介さん、R&H内山の瀬戸弥生さん、上関山極楽寺の田中法典さん、ネコノテカフェの鈴木衛理歌さんをお招きし、南足柄の魅力を熱く語っていただきました。
南足柄ご出身の「L☆PLANET サニー」さんのライブでは、子どもから大人までみんな楽しめる時間に、豊かさや温かさを感じました。
『森の打楽器ワークショップ』では、みんなで竹を叩きながら、自然発生的に音楽が生まれていました。
ファシリテーターの坪内あつしさん(SUNDRUM)の、ことばをつかわず、中心にならないスタイルが、非常に印象的でした。RingNeらしい時間。
日が落ちてきてからは、植物やRingNeの世界に深く入っていきました。
2025大阪・関西万博クラゲ館プロデューサーであり、数学研究者・ジャズピアニストの中島さち子さん、植物学者の中村徹さんをお招きしての『森林と数学、生命』では、植物とは何か?森と林の話に始まり、生態系の多様性からチューリングとAIの話まで、広く旅をしました。
そして、小説 RingNe原作者の雨宮優さんを迎えての『人が植物に転生する世界を考える』では、森をアナロジーとして運営してきたRingNe DAOの話を伺い、また「植物と意識を接続するにはどうしたら良いか」について参加者との対話を交えながら考えました。
トークエリアのクロージングは、遠山翔隼さんのライブ。
小説RingNeにリンクする新曲「花束」の初お披露目もあり、暗い森の中に響くギターと歌声、焚き火の音が溶け合っていました。
装飾を手掛けて下さったのは、繍さんとnaitoh misao masaoさん。流木や森にある素材(枯れ枝やきのこなど)を用いておしゃべりがはずむような素敵な空間を作って下さいました。白い布は絹と麻で、素材にもこだわっています。
当日は雨や寒さもありましたが、エリアでは常に焚き火が焚かれ、ご来場の皆さまのおかげもあり暖かな時間が流れていました。心より感謝御礼申し上げます。
ヒナゲシチルノダテ
(by 雨宮優)
ヒナゲシチルノダテというRingNeの奥の宮へ皆さん辿り着けただろうか。
岡倉天心曰く
茶道の要義は「不完全なもの」を崇拝するにある。
と云う。
RingNe時代、植物は完全なものとして崇拝された。
茶(チャノキ)という完全性を身体に取り入れることを不完全の美の道は如何に解釈するだろうか。
本エリアのディレクターを依頼したソウダルアさんよりのエリア解説はこちらからご覧いただけます。https://www.facebook.com/eat.ruasoda/posts/pfbid0XvwwbxktYiyZF1WSTyjmCuxdSjLHR9DkZALA3uoJDPmZ8sR8GepWtDzwJ48LccySl
岩清水流れる静謐な森に二胡のしらべが透き通り、苔むす岩に置かれた伝統と革新の茶菓子を摘み、完全な所作で淹れられた完全な植物を体内に流す、どう感じたって上質な、チルエリアでした。
ガーベラキッズエリア
(by ベジ)
呼ばれたら世界中どこへでも行く
全世界出張型ベビー/チャイルドシッターのこども王子ベジです。
リンドウローカルマルシェの中心にあるボルダリング遊具に併設する形でタープを張り、誰でも遊べて、休むことのできる無料のキッズエリアを展開しました。
目玉はビー玉落としのピタゴラ装置づくり!
じぶんだけのコースを自由につくるための多種多様な材料を用意しました。
フェス開始直後から『なんだなんだ?』とこどもたちがやってきて
「どうやって遊ぶの?」と訊いてきます。
「好きなようにやっていいんだよ!」と伝えるも、
こちらからすると遠慮がち?とも思えるくらいおとなしく遊ぶ子も多かったのですが、ある時、革命が起こりました。中学生の男の子が
「(ボルダリング遊具の)上からビー玉を落としたい!」と言い出したのです!
「すばらしい!いいね!やってみよう!」とすぐさまオッケーを出しました!
(高いところだからきをつけてね、ともちろん注意付きで、ですよ)『えっ!いいの!?』と小さな子たちが戸惑う中で、じぶんの頭の中のイメージを形にしようと真剣な表情で作業に没頭する男の子。
『そんなことやっても…いいんだ!?』
下にいた子たちがわれもわれも、と続いていきました。「自由」を理解し、今まさにそれを存分に謳歌しようとするこどもたちの目の輝き。
それを見る度、胸が躍ります。
やり方やルールが決まっている「パッケージング」された遊びももちろんよいのですが、正解もタブーも、終わりもない…全てが「じぶん次第」の自由な遊びって、どこででも、特にご家庭の中ではなかなかできないと思います。そんな空間をつくり、提供できたことをうれしく思います。
今年のRingNeでもそれをもう一度。
そして、(かつてこどもであった)大人たちにも、
ぜひ一緒に遊んで、楽しんでほしいと思っています。
ルピナスマルシェ&リンドウローカルマルシェ
(by よしみ)
RingNe festivalではマルシェで盛り上げてくれたメンバーは、私たちと共に創造力をもって世界観を体現してくれていました!「人であるうちをともに祝う」という想いのもと、様々なエリアから愛を届けてくれた、心強い出店者さんたちはこちらから↓
エリアによって花言葉に込められた
想い・テーマがありました✨
◇コチョウランフォレストステージ
花言葉:「幸福が飛んでくる」「純粋な愛」
一体感が強くて、植物と人が同化✨
◇エンレイソウトークエリア
花言葉:「奥ゆかしい美しさ」「叡智」
植物も人も共に学び合う喜びを分かち合えるようなあったかい空気♪
◇ルピナスマルシェ
花言葉:「想像力」「いつも幸せ」
とにかく様々なお店が集い、幸せムードがぷんぷんのエリア!
◇リンドウローカルマルシェ
花言葉:「勝利」「希望」
子供も大人も関係なく、楽しんでコミュニケーションも盛んな空気感♫
RingNeが終わったとき「平和は自分から創り出すことからしか生まれないな」と感じました。
「愛と祈りを捧げること」は人間にとっても、地球にとっても、植物にとっても、最強の平和活動なのかもしれません✨
「自然と一体になれた」という声が多く飛び交っていたRingNeでの空気感。あの場にいる植物や、300名以上の人々が純度が高い想いで集ったことで、そう感じることができたのだなと思います✨
また9.22お会いしましょう♫
テントサウナ、堆肥浴
(by のん)
あなたが最近ととのったのはいつですか?私は森の中で考えました。
滝壺全体が水風呂だったらいいのにな、と。
堆肥に含まれる微生物の発酵熱であったまれるお風呂があればいいな、と。
そうして実現させたのが、夕日の滝の真近くでやる《テントサウナ》
そして、菌糸を思わせる蜘蛛の巣状のオブジェの下での《堆肥浴》です。
やってみて気づいたことですが、
私たちは網の目状につながり合っている、そういう存在なのであって
例えば菌糸のように
例えば流れ落ちる水のように
絶えず絡み合いながら、流動的に一つの生命体を「いま、ここ」の瞬間ごとに生み出している。
夕日の滝が全てを教えてくれて、このような企画が実現したのだと、今なら確信持って言えます。これが私の、ととのいの景色です。
あなたはどうですか?
植物神輿
(by sawa/白鳥紗也子)
森の熱気が最高潮に達した、SUNDRUMのステージと植物神輿。
植物を祀ったお神輿は、真菰の円座、しめ縄、竹紙のシデ、植物でできた鳳凰で豪華に飾り立てられ、浅草アリスさんの先導のもと、みんなで担いでワッショイ!!
エネルギーは伝播し人々を巻き込んでいきました。
みんなで神輿の周りを囲んでぐるぐると回り、最後は出演者もお客様も一緒にステージ上での大団円!!
予想を遥かに超える最高のバイブスで、夜の森を鮮やかに照らしていました。
以下、植物神輿を企画演出制作した白鳥紗也子さんより頂いた賛歌になります。
聖なるかな
性なるかな
生なるかな
祭は祈り
祈りは祭
どのような困難な道が現れようとも
植物の声と共に
土に触れ
火を焚き
風を頬で感じ
水を胎に宿せば
魂はお囃子をリズムをうちならす
よよ限りなく リンネの音色は鳴り響く
神輿の周りを皆で踊れば
輪ができ 我ができ 和ができる
さてさて次は何を祭ろうか
(白鳥紗也子)
滝プロジェクションマッピング
(by 西原雨天)
【モリヤシロ -杜社-】
夜の夕日の滝に投影した、プロジェクションマッピング作品。
森の植物に宿る魂たちを祀る、光でできた形のない社。
2044年・植物主義時代の人々が、森の植物を傷つけないようプロジェクションマッピングという形で作った、”神花”(かつて人であった植物)たちへの礼拝の場。
あるいは、森のあるところにはおのずと生まれるある種の神性と、人々の”神花”への崇敬が合わさった結果あらわれた超常現象。
映像のモチーフは南足柄の森に自生する樹木や草、コケなど。会場の下見を何度か行ったときに感じた、ドロドロ・トゲトゲ・フツフツ・メラメラとした極めて切実な植物たちの生命力を、ビジュアルに落とし込むことに尽力しました。
RingNe Ceremony
(by 雨宮優)
RingNe ceremonyは小説『RingNe』第1章の物語とエッセンスを表現した舞台。
作中の歌詞の音楽から始まり、小説冒頭の台詞とゴルトベルク変奏曲をmix.
もう1匹の山の神に扮した雨宮のDJから始まり、量子→人→AIと過去と未来の人類史を音と舞と光で表現していきます。
人→AIのシンギュラリティは前作『KaMiNG SINGULARITY』3章の人間病発症シーンの音を採用。
三途の川を渡り彼岸の世界で死を認識するダンサー達。
そこで僧侶の赤阪陽月さんが舞台へ上がり死者を蘇らせる音楽を。
舞台上の棺桶からは植物としてのもう1人のダンサーが蓋を開け、植物として此岸へ輪廻する。
やがて音楽は般若心経の一節「羯帝羯帝波羅羯帝 波羅僧羯帝菩提僧莎訶(行こう 行こう さあ行こう 皆で手に手を取り合って 清らかな幸せの世界に向かって 一緒に行こう)」と業火のような激しいビートをmixして、森に燃え盛る映像と共に作中のゴジアオイ火災を表現。
あちら側の世界へ行こうとする強烈な迎火は彼岸の死者たちも植物として此岸へ輪廻させる。
ステージ上は植物たちが彼岸の人間たちをこちらに呼び寄せるように舞い踊り、誘う。そして音の終わりと共に植物たちは静止、夢が醒める。
終演後はMCの音声も人間の声に戻り、バスの出発時間など現実的な事務連絡が続く。
が、最後に一言
「本日はSheep社の提供でお送りしました」
と、いうことでRingNeは小説を読んでくれば何十倍も愉しめる仕様なわけです。
セレモニー フル尺動画 https://youtu.be/7mQH0f2DTq4
共犯者の皆さまの声
After Movie
当日の様子が体験小説『RingNe』に反映され
第1章が完結しました。
虚構と現実
想像と創造
未来と現代が混ざり合う
あなたが創った物語。
https://note.com/in_the/n/nbcc154b9141c?sub_rt=share_pb
第2章もぜひご共犯ください。